ここでは、百人一首の和歌を一覧にして紹介しています。
それぞれの和歌は番号順に掲載しているので、検索しやすいと思います。
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1-25
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ |
春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 |
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む |
田子の浦に うち出てみれば 白妙の 富士のたかねに 雪は降りつつ |
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき |
鵲の 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける |
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも |
わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり |
花の色は 移りにけりな いたづらに 我身世にふる ながめせしまに |
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関 |
わたの原 八十島かけて 漕き出でぬと 人には告げよ あまのつりぶね |
天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ |
筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる |
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに |
君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ |
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む |
ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは |
住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ |
難波潟 短かき蘆の 節の間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや |
わびぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ |
今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな |
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ |
月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど |
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに |
名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな |
26-50
小倉山 峰の紅葉ば 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ |
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ |
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば |
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花 |
有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし |
朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 |
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ |
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに |
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける |
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ |
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける |
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな |
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき |
忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで |
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか |
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは |
逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり |
逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし |
哀れとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな |
由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな |
八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり |
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな |
みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 昼は消えつつ 物をこそ思へ |
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな |
51-75
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな 燃ゆる思ひを |
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな |
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る |
忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな |
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞えけれ |
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな |
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな |
有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする |
やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな |
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 |
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな |
夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ |
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな |
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 |
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ |
もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし |
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそをしけれ |
心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな |
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり |
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮 |
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く |
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ |
高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ |
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを |
契りおきし せもが露を 命にて あはれ今年の もいぬめり |
76-100
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 |
瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ |
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守 |
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ |
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ |
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れ |
思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり |
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる |
長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき |
夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり |
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな |
村雨の 露もまだひぬ 槇の葉に 霧たちのぼる 秋の夕ぐれ |
難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき |
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする |
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず |
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣片敷き ひとりかも寝む |
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もな |
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ あまの小舟の 綱手かなしも |
み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり |
おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に 墨染の袖 |
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり |
来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ |
風そよぐ ならの小川の 夕暮は みそぎぞ夏の しるしなりける |
人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は |
ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり |
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