参議等
小倉百人一首 039 |
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき |
あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき |
参議等 |
読み あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき 現代意訳 浅茅の生えた寂しく忍ぶ小野の篠原ではありませんが、あなたへの思いを忍んではいますが、もう忍びきることはできません。どうしてこのようにあなたが恋しいのでしょうか。 ※浅茅生の / 「浅茅生」は低い茅がまばらに生えているところ ※小野の篠原 / 「小野」は野原や草原のこと。「篠原」は細い竹が生えている野原 ※あまりてなどか / 「などか」は疑問を表していて、「どうしてか」の意 季節 - 出典 「後撰集」 解説 参議等(さんぎひとし・元慶4年~天暦5年 / 880~951年)は源等のことで、中納言・源希の次子、嵯峨天皇のひ孫にあたる人物です。 参河、丹波、山城守などの官職を歴任した後、従四位大宰大弐から慶九年(946年)に参議、天暦五年に正四位下参議となりました。 歌人としての詳細はよく分かっていませんが、参議等の和歌は、「後撰和歌集」に4首が伝えられています。 この和歌は、古今集にある「あさぢふの をのの篠原 しのぶとも 人知るらやめ いうひとなしに」の和歌を真似て、参議等が思いを寄せる女性のためにつくったと言われています。 上の句では、丈の低い茅(かや)が広がる野原を詠んでいますが、この情景を、恋心を抑えている様子と重ねているようにも感じられます。 そして、下の句では、おさめきれない恋心を一気に詠み表していて、起伏ある歌に仕上げています。 また、上の二句は、「忍ぶ」を導く序詞(じょことば)になっていて、その内容に深い意味はありません。 序詞は、ある言葉を導くためのひと続きの言葉で、枕詞とは違って、これといった決まりありません。 この和歌では、「忍ぶ(秘密にしている)」を導くために「篠原」が置かれていて、「しの」の音が、次に続く「忍ぶ」を連想させています。 |
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