式子内親王

小倉百人一首 089

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする

式子内親王

読み

たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする

現代意訳

わたしの命よ、絶えることなら早く絶えてほしい。このまま生きながらえていると、耐え忍んでいるわたしの心も弱くなってしまい、 秘めている思いが人に知られてしまうことになろうから。

※玉の緒 / 「命」のこと
※絶えなば絶えね / 「絶えてしまうのなら、絶えてしまえばいい」の意味

季節

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出典

「新古今集」

解説
式子内親王(しょくしないしんのう・久安5年?~建仁元年 / 1149?~1201年)は後白河天皇の第三皇女です。
藤原俊成から歌を学び、「新古今和歌集」を代表する女性歌人で、「後鳥羽院御口伝」では、藤原良経慈円とともに賞賛されています。

この恋の和歌は、俊成に代わって式子内親王に和歌を教えるようになった定家のことを思って詠まれたと言われています。
「玉の緒」は、元は首飾りなどをつくる宝石(玉)に通す紐のことですが、ここでは「命をつなぎとめておくもの」として捉えられています。
「命も絶えてしまえばいい」と、激しい恋心に強い印象を受けますが、下の句では、不安に細る胸のうちが詠まれていて、心が定まらない様が見事に表現されています。

また、式子内親王は生涯独身をとおし、後に出家して、承如法と名乗ったと伝えられています。

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